法人の税務会計処理を行う上で、税金関係に関する経費について租税公課として処理することは多くあると思います。
しかしながら、租税公課という同じ勘定科目の中であっても、税務上損金算入できるもの・できないもの、損金算入時期の取扱いが異なるもの、消費税の会計処理の違い、固定資産の取得に係る租税公課など、取扱いは様々であり、留意すべき点が多いです。
ちょっとした税務会計処理のミスで、税務調査で否認されてしまうことも多いです。
今回は租税公課についてご説明いたします。
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租税公課とは、国税や地方税などの税金である租税と、国や公共団体などに対する交付金や会費などの公的な課金である公課を合わせた勘定科目のことです。その中に税務上損金算入できるもの・できないものがあります。
・固定資産税
・不動産取得税
・印紙税
・自動車税
・法人事業税、事業所税
・登録免許税など
・法人税、地方法人税、法人住民税
・加算税、加算金、延滞税及び延滞金、過怠税
・罰金及び過料
※ただし、例外的に、国税の利子税、社会保険料の延滞金は損金に算入されます。
罰金や延滞税など、罰則的な意味合いを持つものは損金に算入できませんので注意が必要です。
納税申告書を提出した日の属する事業年度に損金算入します。ただし、その事業年度の直前事業年度の事業税については、その事業年度終了の日までに申告がされていない場合であっても、その事業年度の損金の額に算入することができます。
賦課決定の日の属する事業年度に損金算入します。(賦課決定の日とは賦課決定通知書が到達した日となります)ただし、納期の開始日の属する事業年度又は納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした日の属する事業年度となります。
具体的には固定資産税の損金算入時期は下記の3通りとなります。
・税込経理をした場合の消費税
納税申告書を提出した日の属する事業年度に損金算入します。ただし、消費税の額を損金経理により未払計上した場合又は収益の額として未収入金に計上した場合には、その計上した事業年度の損金の額又は益金の額に算入します。
例えば不動産の取得や車両の購入など固定資産の取得に関連して支出する租税公課であっても、次に掲げるような租税公課は取得価額に算入しないことができます。
・不動産取得税又は自動車取得税
・登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
・特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
納付が定められた期限に遅れると法定納期限の翌月から完納する日迄の延滞税を納付する必要があります。計算方法は以下の通りです。(以下の計算方法は国税の場合です。地方税の延滞金の場合は計算が異なります。)
本税の額×割合×期間日数÷365日=延滞税(A)
※割合は年度によって異なります。この場合 令和2年は2.6% 令和3年は2.7%
※期間は法定納期限の翌日から完納の日迄の期間
(A)+本税の額×8.9%×期間日数÷365日=延滞税
※割合は年度によって異なります。この場合 令和2年は8.9% 令和3年は8.8%
※期間は2月を経過する日の翌日から完納の日迄の期間
平成30年度末残高 | 新規発生滞納額 | 整理済額 | 令和元年度末残高 | |
所得税 | 3,631 | 1,249 | 1,552 | 3,328 |
法人税 | 918 | 765 | 738 | 946 |
相続税 | 629 | 275 | 332 | 572 |
消費税 | 2,904 | 3,202 | 3,438 | 2,668 |
関連:法人税・地方法人税・消費税の申告納付期限の延長手続き方法について
今回は租税公課についてご説明いたしました。法人の経営を行う上で税金の支払は、どうしてもついてまわるもので、予期しない支払いが生じ、時には重い負担となる場合があります。
特に、源泉所得税は役職員の給与からの預かり分、消費税などは消費者からの預り分とはいっても、現金に色はないことから、つい資金繰りに回してしまうことも多いと思います。税金の未納は延滞税など利率が高いので毎月納税積立を行うなどして計画的に納税したいものです。会社で課題をお持ちの方・もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問い合わせください。