複数税率の導入、リバースチャージ方式など、事務手続きの複雑化・業務処理量の増加が伴う改正が続く消費税法の制度ですが、新たにインボイス制度(適格請求書保存方式)が導入されます。
ニュースや新聞などで、「インボイス制度」という形でお耳にされた方もいらっしゃるかと思います。
また、この法改正ですが、証憑書類に関する対応もさることながら、法人・個人に関わらず、ビジネスをされている皆様の消費税への対応を、根本部分から修正しなくてはいけない要素を含んでいます。
そこで今回は、消費税の適格請求書等保存方式制度、いわゆるインボイス制度について、制度の内容について説明していきます。
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今回の法改正を一言で申し上げるなら、「仕入控除に必要な証憑書類に関する法改正」です。
消費税額の計算を、最もシンプルにすると、
となります。
この「売上にかかる消費税」から、「仕入・経費にかかる消費税」を差し引いて、消費税の納税額を計算することを、「消費税の仕入控除」と呼びます。ここからはこの式と「仕入控除」が重要となります。
さて、仕入控除を行うためには、帳簿の作成と証憑書類を保管することが義務となっております。この証憑書類は、現在「区分記載請求書等保存方式」と呼ばれる制度により、次の項目の記載を求められています。
「区分記載請求書」
※不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業等に係る取引では、記載を省略できます。
今まで目にする領収書については、意外と上記の条件を満たさない領収書も多いのではないでしょうか?
この「区分記載請求書」が、令和5年10月1日からは「適格請求書」に変わることになります。
具体的には、先程の1から5が以下のように変わります
次に、最大の変化となるのが、1の登録番号です。
「適格請求書」を発行するには、税務署に対し発行者である旨、届け出る必要があります。
届出を行った後、国税庁より登録番号が発行されます。なお、法人の場合には、登録番号は「T+法人番号」となる予定です。
中国では既に行われている消費税の取扱いに近い流れとなります。中国では、偽造された領収書も数多くあるようで、日本でも不正を防止する対応策が立てられてくると思われます。
登録後には、インターネットの公表サイトにより
が公表される予定となっております。
では、適格請求書発行事業者になるために登録を行うには、どのようにすればよいでしょうか。
この手続は「適格請求書発行事業者の登録申請手続」という手続名で、様式は以下になります。
既に令和3年10月1日から提出が可能となっており、制度の開始日である令和5年10月1日から適格請求書を発行するためには、令和5年3月31日までに申請書の提出が必要となります。
※令和5年3月31日までに提出することが困難な場合には、令和5年9月30日までとする特例措置があります。
提出方法については、別の記事でさらに詳しく説明したいと思います。⇒インボイス制度の手続き
届出を行い適格発行事業者となった事業者には、次の義務が課せられます。
この適格請求者発行事業者になるための条件が、話題となっていることをご存知でしょうか。
制度対応に課題をお持ちの方・もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問い合わせください。