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消費税インボイス制度とは(消費税適格請求書保存方式について)

複数税率の導入、リバースチャージ方式など、事務手続きの複雑化・業務処理量の増加が伴う改正が続く消費税法の制度ですが、新たにインボイス制度(適格請求書保存方式)が導入されます。

ニュースや新聞などで、「インボイス制度」という形でお耳にされた方もいらっしゃるかと思います。

また、この法改正ですが、証憑書類に関する対応もさることながら、法人・個人に関わらず、ビジネスをされている皆様の消費税への対応を、根本部分から修正しなくてはいけない要素を含んでいます。

そこで今回は、消費税の適格請求書等保存方式制度、いわゆるインボイス制度について、制度の内容について説明していきます。

インボイス制度 (適格請求書保存方式制度 )とは?

今回の法改正を一言で申し上げるなら、「仕入控除に必要な証憑書類に関する法改正」です。

消費税の仕組み(仕入控除) 

消費税額の計算を、最もシンプルにすると、

となります。

この「売上にかかる消費税」から、「仕入・経費にかかる消費税」を差し引いて、消費税の納税額を計算することを、「消費税の仕入控除」と呼びます。ここからはこの式と「仕入控除」が重要となります。

消費税と証憑書類(インボイス) 何が変わるのか?

さて、仕入控除を行うためには、帳簿の作成と証憑書類を保管することが義務となっております。この証憑書類は、現在「区分記載請求書等保存方式」と呼ばれる制度により、次の項目の記載を求められています。

「区分記載請求書」

  1. 請求書発行者の氏名又は名称
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象であればその旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
  5. 請求書受領者の氏名又は名称

※不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業等に係る取引では、記載を省略できます。

今まで目にする領収書については、意外と上記の条件を満たさない領収書も多いのではないでしょうか?
この「区分記載請求書」が、令和5年10月1日からは「適格請求書」に変わることになります。


具体的には、先程の1から5が以下のように変わります

  1. 請求書発行者の氏名又は名称および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象であればその旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 請求書受領者の氏名又は名称
ポイント
適格請求書の4・5ですが、「適格請求書」では消費税の計算は、対象税率ごとに取引額を集計し、そこから消費税額を計算することとなりました。逆に言えば、取引ごとに消費税を算定した後に税率ごとの消費税を集計することはNGとなります。大きな金額な誤差はないとしても、プロセスが決められていることに注意が必要と思われます。

次に、最大の変化となるのが、1の登録番号です。

「適格請求書」を発行するには、税務署に対し発行者である旨、届け出る必要があります。
届出を行った後、国税庁より登録番号が発行されます。なお、法人の場合には、登録番号は「T+法人番号」となる予定です。

中国では既に行われている消費税の取扱いに近い流れとなります。中国では、偽造された領収書も数多くあるようで、日本でも不正を防止する対応策が立てられてくると思われます。

登録後には、インターネットの公表サイトにより

  • 適格請求書発行事業者の氏名又は名称
  • 登録番号、登録年月日
  • 本店または主たる事務所の所在地(法人のみ)

が公表される予定となっております。

適格請求書発行事業者になるためには

では、適格請求書発行事業者になるために登録を行うには、どのようにすればよいでしょうか。
この手続は「適格請求書発行事業者の登録申請手続」という手続名で、様式は以下になります。

国税庁 :適格請求書発行事業者の登録申請手続

既に令和3年10月1日から提出が可能となっており、制度の開始日である令和5年10月1日から適格請求書を発行するためには、令和5年3月31日までに申請書の提出が必要となります。
※令和5年3月31日までに提出することが困難な場合には、令和5年9月30日までとする特例措置があります。

提出方法については、別の記事でさらに詳しく説明したいと思います。⇒インボイス制度の手続き

消費税適格請求書発行事業者の義務

届出を行い適格発行事業者となった事業者には、次の義務が課せられます。

  • 適格請求書等の発行義務(取引の相手方の求めに応じて、適格請求書等を交付する)
  • 適格返還請求書の発行義務(返品や値引きの際に、返金に応じた適格返還請求書を交付する)
  • 修正した適格請求書の交付義務(いったん交付した適格請求書に誤り等があった場合、修正した適格請求書を交付する)
  • 写しの保存義務(交付した適格請求書等の写しを保管する)

まとめ

この適格請求者発行事業者になるための条件が、話題となっていることをご存知でしょうか。
制度対応に課題をお持ちの方・もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問い合わせください。

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