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不正・横領・粉飾決算・逆粉飾決算はなぜ起きるのか

会社は、証券取引所に上場しているか上場していないに係らず、企業理念や経営理念を掲げ、日々、社会の公器(Public Company)として、会社の利害関係者である株主、社員、取引先などの人々と接しながら、企業活動しています。勿論、これは個人事業主の方についても、同様と思います。

こうした企業活動の中で、1人で会社を経営されている場合、親族のみで会社を経営されている場合、比較的小規模で会社を経営されている場合については、経営者の方が会社の隅々まで目が行き届いており、会社の実態と経営者の感覚は一致すると思います。

しかしながら、会社が成長し企業規模が大きくなった場合、同じ価値観ではない人々を雇用し始めた場合には、目が行き届いているでしょうか。

また、経営者は孤独であり、一番の仕事は資金繰りになることが多いですが、会社の生き残りや成長のためには、経営者自ら、営業開拓、人の採用、システムの構築などを同時並行的に進めていかなくてはならないでしょう。

日々、経営者の方々と接していますが、社会の動きはどうなのか、他社はどうなのか、自社の健康状態はどうなのか、社内体制は大丈夫でしょうか、と相談されることが多く、組織化されている会社といえども、経営者は孤独で、真剣に会社の行く末を考えられていらっしゃると感じます。

こういった時には、会社が順調に行っているケースを話すこともありますが、躓かないためにはどうしたらいいのかという観点も必要と思い、他社の不正・横領・粉飾決算・逆粉飾決算について、話すことも多いです。

そこで今回は、会社の不正・横領・粉飾決算の事例と共に、その概要、起こってしまう理由や動機、対応策について、説明していきます。

会社の不正・横領・粉飾決算・逆粉飾決算のパターン

会社の不正・横領・粉飾決算・逆粉飾決算は、様々なものがありますが、

  • 誰が行うのか?
  • 何故行うのか?
  • どんな手口があるのか?

ということから、ある程度パターン化できるものと考えています。

以下、それぞれの視点から考察していきますが、最終的には、何らかの動機により、発生するものと考えられます。

不正・横領は誰が行うのか?何故行うのか?

不正・横領は誰が行うのか?

  • 経営者
  • 取締役・部長などの役職者
  • 一般社員

に大きく区分できるかと思います。

不正・横領は何故起きるのか?

経営者の不正・横領の動機

経営者は、会社全体を俯瞰して見ることのできる立場であり、会社の資金を動かす立場にある人物と言えるため、以下のような動機が考えられます。

  • 会社の業績を良く見せるためなどの社会的な体面を保つこと
  • 金融機関からの借入金を引っ張ること、維持すること
  • 表に出せない個人の遊興費を確保すること
  • 脱税・節税意識が強すぎるがために、納税金額を減らそうとすること

などが、その動機と考えられます。

取締役・部長などの役職者の不正・横領の動機

取締役・部長などの役職者は、経営者程ではないにしても、経営者や取締役会などの監視の下、会社全体もしくは事業部門などを俯瞰して見ることのできる立場であり、予算内の資金を動かす立場にある人物と言えるため、以下のような動機が考えられます。

  • 経営者からの指示や暗黙の了解や忖度
  • 会社の業績を見せるためなどの社会的な体面を保つこと
  • 自分の身分や立場を良くするためなどの社内的な体面を保つこと
  • 会社経費で落ちない個人の遊興費を確保すること
  • 仕入先、販売先との癒着や結託により、能動的・受動的に不正に手を染めてしまったこと

などが、その動機と考えられます。

ただし、経営者や取締役会などの監視が正常に行われていない、もしくは、この人物を信用するがあまりに、全ての決裁権限を与えてしまって、ノー管理となっている場合には、経営者不正に近い事例や金額の不正が起こり得る可能性があります。

一般社員の不正・横領の動機

一般社員は、取締役・部長などの役職者の監視の下、自分の業務範囲のテリトリー内の業務行い、資金に触れる行う人物と言えるため、通常は、不正の金額も小さいものとなる傾向にあり、以下のような動機が考えられます。

  • 取締役・部長などの役職者からの指示や暗黙の了解や忖度
  • 自分の身分や立場を良くするためなどの部門内での対面を保つこと
  • 会社経費で落ちない個人の遊興費を確保すること
  • 仕入先、販売先との癒着や結託により、能動的・受動的に不正に手を染めてしまったこと

などが、その動機と考えられます。

ただし、取締役・部長などの役職者監視が正常に行われていない、もしくは、この人物を信用するがあまりに、ノー管理となっている場合には、長期間にわたり不正が行われ、結果としてその金額が多額になる可能性があります。

会社の不正・横領・粉飾決算・逆粉飾決算の事例

経営者による不正の事例

  • 原材料、労務費、経費などの単価の修正による原価計算の意図的な改竄
  • 売上のキャッチボールによる水増しされた売上高・売掛金(循環取引)
  • 仕入先への前渡金が未回収となったことによる架空在庫発生
  • 実態のないソフトウェア計上による粉飾決算
  • 不動産への過剰投資による焦げ付き、銀行融資引き上げによる破綻
  • 金券を換金目的に利用した私的流用
  • 架空在庫計上による、繰越欠損金利用

取締役・部長などの役職者による不正の事例

  • 在庫調整による事業部門損益の期ズレ
  • 役付役員による作業屑の横流しによる着服
  • 工場長による共済会費の使い込み
  • 子会社社長によるクレジットカードのノー管理による多額の遊興費の発生
  • 経理部長による交際費の私的流用
  • 経理部長による認められない旅費交通費の発生
  • 子会社の経理部長による簿外借入金の発生

一般社員による不正の事例

  • ノルマ達成のため、サラ金を利用した売上高獲得
  • 遊興費獲得のため、売上回収金の使い込みより、サラ金からの多額のローン
  • ギャンブルによるサラ金への返済のため、店長による社員からの借入金
  • 海外子会社の倉庫管理者による作業屑の横流し
  • 換金可能な金品を扱う部門の職員による質屋での換金

以上は、ほんの一例ですが、今後、事例と共に、その対応策について、記載していこうと考えています。

まとめ

会社の健全な継続的な成長、内部統制の充実、社内のモチベーション向上、ガバナンス意識の向上にご興味をお持ちの会社、経営者の方で課題をお持ちの方・もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問い合わせください。

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