企業活動をしていく中で中古の固定資産を取得することは多いと思います。現在では、グルーバルに展開する会社などを中心に、社会との共生、サスティナビリティ、SDGs、ESGといったワードをよく見かけるようになりました。環境意識が高まり、従来からの中古車などだけでなく、パソコンや家具などのリユース品が多く流通するようになっています。今回は、こうした中古の固定資産を取得した場合について税制面からまとめてみました。
中古の固定資産の取得に限らず、資産を取得した場合の損金算入額は次に掲げる区分に応じて、それぞれに定められた方法による金額となります。
使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その全額の損金算入が可能です。
(法人税法施行令第133条)
取得価額×事業年度の月数/36=損金算入額
(法人税法施行令第133条の2 一括償却資産の損金算入)
中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を取得した場合には、年間300万円を上限として全額損金算入が可能です。(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
償却方法(定額法や定率法など)と法定耐用年数により、減価償却費を計算します。
詳しくは「減価償却資産について」のブログを参照して下さい。
中古資産の耐用年数の算出方法は次の通りです。
法人税法上で定められた耐用年数で、国税庁の耐用年数表で確認することができます。
法人税法上は、中古資産でも原則として法定耐用年数で減価償却の計算を行うことになります。
使用可能期間を見積り耐用年数とする方法
法定耐用年数を適用した場合には現実的な耐用年数と比較すると長くなる傾向にある一方、見積法を適用するための耐用年数を客観的に見積もるのは困難な場合が多いので、現実としては簡便法を適用するのが一般的です。
減価償却資産を事業の用に供するに当たって支出した資本的支出の金額が当該減価償却資産の取得価額の100分の50を超えるときは見積法及び簡便法を使用することはできません。
耐用年数を簡便法で計算(法定耐用年数の一部を経過した資産)
耐用年数を簡便法で計算(法定耐用年数の一部を経過した資産)
耐用年数を簡便法で計算(法定耐用年数の全部を経過した資産)
「当期の利益が思ったより出てしまいそうで、いいタイミングだから車を買い替えたんだけど、何年落ちのものがいいんでしょうか?ディーラーさんからも、お値打ちの車と進められているんだけど。」というご質問を受けることが多いのですが、6年の耐用年数とすると、上記の計算式から導かれますが、46か月となります。
計算式としては、以下の通りとなります。
(72ヶ月-46ヶ月)+46ヶ月×20%=35.2ヶ月=2年11.2ヶ月→ 2年
46ヶ月以上のものは、2年となります。
ベンツのゲレンデバーゲン、ポルシェ911、アストンマーチン、ロールスロイスなど、比較的高額、かつ、値崩れしにくい車を購入されている方は、如何に償却年数を短くして、減価償却による節税メリットを受けることができるかを考えることが多いかとは思いますので、一つの参考にしていただければと思います。
今回は中古の固定資産を取得した場合の取扱いについて説明しました。いかがでしたでしょうか。耐用年数の違いで、トータルの損金算入額は同額であるものの、初期段階における損金算入の金額が大きく違ってきますし、節税という観点からもご検討の方も多いかは思います。もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当事務所へお問い合わせください。