配当金については、企業再編時などに発生するみなし配当を含め、二重課税防止の観点から益金不算入となる場合があります。また、通常、配当金の支出などをする会社側には、源泉徴収義務があります。
配当金については、企業再編時などのみなし配当金も含め、改正が行われ、論点がいくつかありますが、2023年10月1日以降は、親子会社などにおける配当に関する源泉徴収義務が発生しないようにする改正が行われておりますので、注意が必要です。
受取配当金の益金不算入制度の概要は以下の通りです。なお、持分割合は、株式の直接保有だけでなく、間接保有も含んで判断します。自己株式取得によるみなし配当の場合にも同様です。
区分 | 持株割合 | 益金不算入割合 | 負債利子控除の有無 |
完全子法人株式等 | 100% | 100% | なし |
関連法人株式等 | 1/3超~100%未満 | 100% | あり |
その他の株式等 | 5%超~1/3以下 | 50% | なし |
非支配目的株式等 | 5%以下 | 20% | なし |
証券投資信託 | – | 0% | なし |
なお、この改正以前は、関連法人株式等と類似する概念として、関係法人株式等(25%以上100%未満)の区分があり、この益金不算入割合は100%(負債利子控除あり)でした。また、被支配目的株式等と類似する概念として、上記以外の株式等(25%未満)の区分があり、この益金不算入割合は50%(負債利子控除あり)でした。
通常、受取配当については、源泉徴収義務が発生します。しかし、例外的に、完全子法人等や関連法人株式等に該当する場合には、源泉徴収を行う必要はありません。
この措置は、2023年10月1日以降の受取配当金から適用となります。
それ以前までの子会社からの配当に関して、源泉徴収を行っていたことから、継続して源泉徴収している事例もあり、この場合、親会社では税額控除していた源泉徴収税額分について追加納税は発生し、子会社では親会社へ源泉徴収税額分の支払が必要となることがあります。
ここで、株式の保有について、受取配当の益金不算入制度と同様に、直接保有だけでなく、間接保有を含めるのか論点となります。
これに関しては、受取配当の源泉徴収は、直接保有のみであり、株式保有の名義で判断されることになります。
受取配当における益金不算入制度と源泉徴収義務の要否について、知っておいていただきたいポイントについて簡単に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。企業再編などに課題感を御持ちの方・もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問い合わせください。