何かやり始めようかと考えている方、既に個人事業主で事業運営されている方で更なる規模拡大を考えている方、会社は順調に大きなって来ていて今後どうしていくのがいいのかと考えられている方は多くいらっしゃるかと思います。
資金調達をどのようにすれば良いかと考える方がいらっしゃるのではないでしょうか?最近では、クラウドファンディングといったものや、IPO、M&Aなどという言葉を良く耳にされると思います。そこで今回は、会社の資金調達方法として、どんなものがあるのかについて説明していきます。
資金調達方法として、以下が考えられます。会社の成長ステージ(設立、シード、アーリー、ミドル、レイター)に合わせて、取捨選択していくことが必要となります。
各資金調達手段を活用する時の会社のステージの目安を記載しております。
資金調達方法 | 会社の成長ステージ |
自己資金 | 設立 |
外部資金 | |
借入金 ①知人からの借入金 ②金融機関からの借入金 ③事業会社からの借入金 | ①設立、シード ②設立、ミドル、レイター ③ミドル、レイター |
クラウドファンディング | シード、アーリー |
新株予約権付社債、転換社債 | |
コンバーティブル・エクイティ | |
株式発行 ①株主割当増資 ②役職員に対する第三者割当増資 ③知人に対する第三者割当増資 ④エンジェル投資家に対する第三者割当増資 ⑤ベンチャーキャピタルに対する第三者割当増資 ⑥事業会社に対する第三者割当増資 ⑦Initial Public Offering | ①設立、シード ②設立、シード、アーリー ③設立、シード ④設立、シード、アーリー ⑤アーリー、ミドル、レイター ⑥レイター ⑦IPO、株式公開 |
合併/買収 | アーリー、ミドル、レイター |
※資金調達のみならず、幅広く情報提供してくれている『創業手帳(https://sogyotecho.jp/)』さんなどをご覧になっても良いかと思います。
資金調達方法には、自分の自己資金か、自分以外から受ける外部資金かにより、大きく異なります。自己資金であれば、事業がうまくいかなかった場合でも、資金面については、自分が損失を被るだけです。
一方で、外部資金であれば、資金面については、自分だけではなく、自分以外にも損失を与えることになるので、それだけ社会的責任が増します。
したがって、外部資金を活用する際には、資金集めに成功したと喜んでいるだけでなく、事業を成長させることにより資金を返済したり、配当や企業価値の向上で還元したりすることで、恩返しすることを心掛けると良いと思われます。
クラウドファンディングは、大きく、寄附型、購入型、投資型、ハイブリッド型に分けられます。
クラウドファンディングと言っても、各々、性質が異なり、結果として、その商品や事業が成立しないことも少なからずあるため、資金を払い込むときには、注意が必要です。
借入金は、入金された資金を一定期間で返済し、利息を支払う資金調達方法であり、会社の持分を渡すことはありません。
株式は、入金された資金を返済する必要はありませんが、会社の業績が好調である場合などは、配当を分配します。また、会社の経営権である、議決権や持分を渡すことになります。
株式は一度発行した場合に、取り返すことが非常に難しくなり、不可逆となることは理解と腹を括って、実行する必要があります。特に、オーナーとの関係性が遠ければ遠いほど、金融的な視点が強い場合には、その傾向が強くなります。
借入金は、株式と比較して、資本コストが安いと言われることがありますが、これは、利息は税務上損金となるのに対し、配当は税金を支払った後の残余財産を分けるため、税務上損金とならないこと、及び倒産時の回収リスクやリターンに対するボラティリティが相対的に低いからです。
一方で、配当金は必ずしも分配する必要はないという特徴もあります。
借入金は、資金を借り受けて返済するだけなので、株主総会での議決権を保有するわけでもなく、会社の経営支配権までには直接的には影響が及びません。しかしながら、工場建設や運転資金で多額の資金を借り受けている場合には、返済スケジュールが滞った際には、資産売却やリストラなど、経営合理化を強く進言してくるため、間接的には経営に関与してくることにはなります。
株式については、発行済株式数のうち、議決権を渡すことになるので、その持株数によっては、会社の経営支配権に大きな影響を及ぼします。オーナー自身が保有しておくべきラインは、以下を参考にしていただければと思います。
議決権 | 効果 | 具体例 |
100% | 全てを決めることができる | |
90%以上 | スクイーズアウト可能 | |
3/4超 (総株主の半数) | 特別特殊決議 | 株主毎に異なる権利付与 |
2/3超 (議決権を有する株主の半数) | 特殊決議 | 全部の株式に譲渡制限 合併承認 |
2/3超 | 特別決議可能 | 定款変更 新株発行 自己株式取得 株式併合 |
1/2超 | 普通決議可能 | 役員選任、配当など |
1/3以上 | 特別決議否認可能 | |
3%以上 | 帳簿閲覧権 | |
1%以上 (300個以上) | 株主提案権 |
※スクイーズアウト(Squeez Out)とは、90%以上株式を保有する大株主が少数株主を排除するための手法で、特別支配株主の株式売渡請求、株式併合、株式交換により行います。
会社の資金調達方法に関して知っておいていただきたいポイントについて簡単に説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。これから起業をご検討している方や法人成りを考えていらっしゃる方、資金調達を検討している会社で課題をお持ちの方・もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問い合わせください。