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解散事業年度における欠損金の組戻し還付制度について

法人税は、所得≒利益が発生した時には、納税が発生しますが、

前期に所得が発生したことにより、法人税を納付し、当期に欠損金額が発生した場合には、その欠損金額については、一定の条件の下ですが。前期に組戻して法人税額の還付を請求することができます。

前期に所得が発生した場合が対象となりますが、解散事業年度の場合は例外であり、前期だけでなく前々期に所得が発生した場合でも対象になります。

今回は、解散事業年度における欠損金の組戻し還付制度について、具体例を挙げながら解説していきたいと思います。

欠損金の組戻し還付制度について

青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に欠損金額が発生した場合において、その事業年度の開始の日の前1年以内に開始したいずれかの事業年度(原則として前事業年度に限定されます)に所得が発生し、法人税を納付していた場合には、欠損金額を繰戻して法人税額の還付を請求することができます

これには、連続して青色申告書である確定申告書を提出している必要があります。

なお、この制度は期末の資本金が1億円以下であること等の要件を満たした「中小企業者等」が利用できます。

還付金額の計算は次のとおりです。

(算式)

(注1) 法人が還付金額の計算の基礎として、還付請求書に記載した金額が限度となります。また、対象となる欠損事業年度の欠損金額は、分母の還付所得事業年度の所得金額が限度になります。

(注2) 通算法人については、上記とは計算方法が異なります。

(出典:国税庁ホームページ)

ケーススタディ

  • 前期の課税所得800万円
  • 納付法人税額120万円
  • 当期所得△800万円
  • 納付法人税額0円

の場合に還付される金額は、先程の計算式を当てはめますと

となります。

解散事業年度における欠損金の組戻し還付制度について

法人が解散(適格合併による解散等は除きます)をした場合は、「解散の日の前1年以内に終了した事業年度」または「解散した日の属する事業年度」において発生した欠損金額があるときは、欠損金額を組戻して法人税額の還付を請求することができます。

例えば事業年度が1月1日から12月31日の法人が6月30日に解散した場合は「解散の前年の事業年度(1月1日~12月31日)」または「解散事業年度(1月1日~6月30日)」に欠損金額が発生した場合その事業年度の開始の日の前1年以内に開始したいずれかの事業年度(原則として前事業年度になります)に所得が発生し、法人税を納付していた場合は、欠損金額を繰戻して法人税額の還付を請求することができます。

このケーススタディでのポイントは、以下となります。

  • 「解散の前年の事業年度(1月1日~12月31日)」に欠損金額が発生し「解散の前々年の事業年度(1月1日~12月31日)」に所得が発生し法人税を納付していた場合

※このケースでは「解散事業年度(1月1日~6月30日)」の所得は関係ありません。解散事業年度に所得が発生していたとしても還付を請求することができます。

  • 「解散事業年度(1月1日~6月30日)」に欠損金額が発生し「解散の前年の事業年度(1月1日~12月31日)」に所得が発生し法人税を納付していた場合

以上のケースでは、法人税額の還付を請求することができます。

解散事業年度における欠損金の組戻し還付制度は、法人の規模による制限はなく「中小企業者等」に該当しなくても利用できます。

まとめ

今回は法人税の欠損金の組戻し還付制度について特に解散事業年度の場合について、解説させていただきました。

  • 解散事業年度の場合は、前期だけでなく、前々期に所得が発生した場合でも、還付制度の対象となること。
  • 解散事業年度の場合は法人の規模による制限はなく、「中小企業者等」に該当しなくても還付制度を利用できる。

以上の点を抑えていただければと思います。もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問合わせください

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