長南会計事務所
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食品消費税率0%特例措置における飲食店の影響

公認会計士及び税理士業界の繁忙期の1つの山場である確定申告の時期を終え、新年度が始まって少し経ちました。確定申告書の提出期限ギリギリの段階は私のレベルでは出来ることが少なく、歯がゆい思いをしたので、次の確定申告までに日々休日返上で勉強して成長し、来年は、もっと前倒しで、色々な知識や経験を得て、クライアントや事務所の諸先輩方へ少しでも貢献が出来るようにしていくことを日々の目標にしています。日々の勉強不足や諸先輩方よりも早帰りしてしまっているので、成長の機会を逸していることを強く感じました。これからは、業務命令を着実に行うことは当たり前ですが、諸先輩方の仕事を一個一個奪っていこうと思います。

今回は、まだいつからになるかとは確定してはいないもの、私が訪問したクライアント様から話題に上がり、自分でも気になり調べた、時限的な制度として想定されている、食品消費税0%特例措置についてです。現行のまま施行された場合における飲食店業界への影響がどのようになるかを記載していきたいと思います。

飲食店業への影響

現状では、外食(TO HERE)での消費税率は10%から変わらない見込み(現行の軽減税率と同じような扱い)のため、飲食店では、以下のような取扱いとなる予定です。

消費税率0%は非課税ではなく、免税(不課税)扱いとなります。一方で、消費税の軽減税率(8%)と同様に酒類に分類されるものなどは現在と変わらず10%のままとなります。

スーパー、コンビニ、テイクアウトとの金額格差

肉や野菜や飲料水などの食材をスーパーなどで、購入する分には消費税がかからないため、外食との大幅な金額差が起こり、客足の減少を招く可能性が大きいと考えられています。多分、スーパーなどの株価が上がり、買収などが進んでいることも関係しているのかもしれません。

かなり見過ごせない影響です。

従来の10%対8%でも影響があるというのに、10%:0%になってしまったら大きな金額格差になるため、自炊か持ち帰り弁当(TAKE OUT)で済ませて、外食はしなくてよい、と外食離れをしてしまうことはある程度予想ができるため、飲食店側がどのように対応するかを考えなければなりません。消費者にとっては毎日のことなので、中東問題によるインフレや税金や社会保障費の増加が進む中 、生活費を少しでも節約 して、自衛していくことになるのかと思います。

軽減税率と同じようにTAKE OUTで食品扱いにされて消費税率が0%になった場合、TAKE OUTやネット通販を始めてみる、もしくは、拡大させていく、酒類は消費税率 に差はないことから、飲み放題のお得なプランを考えて外食したくなるように試みる、というのも一つの手になりそうです。

とは言え、次に挙げる消費税の影響のため、安易に値下げをするといったことも難しくなる飲食店もあると考えるため、更に検討が必要になりそうです。

支払消費税への影響

現行の消費税の計算の仕組みには、免税以外には、比較的事業規模の大きい会社などに適用される本則課税と比較的事業規模の小さい中小企業などに適用される簡易課税があります。

・本則課税:(売上高に対する仮受消費税等-仕入高等に対する仮払消費税等)との差額により消費税額を計算する 。

・簡易課税:仕入高等は考慮せず 、仮受消費税-仮受消費税×みなし仕入率で消費税額を計算する 。(具体的には、飲食店はみなし仕入率60%)

※なお、個人事業主は2年前(前々年)、法人であれば2事業年度前(前々事業年度)である基準期間の売上高が5,000万円以下などである場合、納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要等の制限があります。

仮に、食品消費税0%が適用された場合以下のような変化が起こるようになります。

食品だけの仕入はあまりあり得ない話ですが、分かりやすくするための例として、消費税は税抜で売上10,000円(消費税率10%、仮受消費税等1,000 )、仕入6,000円(従来、仮払消費税等480、0%特例措置0)。なお、仕入内容が全て食品(消費税率8%,0%)、と仮定した場合を想定します。

本則課税

・従来

  • 仮受消費税等:10,000×0.1=1,000円
  • 仮払消費税等:6,000 ×0.08=480円
  • 未払消費税等:1,000-480=520円
  • 利益:10,000-6,000=4,000円

・0%特例措置

  • 仮受消費税等: 10,000×0.1=1,000円
  • 仮払消費税等:6,000×0=0円
  • 未払消費税等: 1,000-0=1,000円
  • 利益:10,000-6,000=4,000円

※利益は4,000円と同額。一方で、支払消費税等は、実際に支払った仮払消費税等が480円減少したことから、同額である480円増加。実際の消費税等の負担はなし。

簡易課税

・従来

  • 仮受消費税等:10,000×0.1=1,000円
  • みなし仕入消費税等:1,000×0.6=600円
  • 未払消費税等:1,000-600=400円
貸方借方
仮受消費税1,000仮払消費税480
未払消費税400
雑収入120

利益:10,000-6,000+120=4,120円

・0%特例措置

  • 仮受消費税等:10,000×0.1=1,000円
  • みなし仕入消費税等:1,000×0.6=600円
  • 未払消費税等:1,000-600=400円
貸方借方
仮受消費税1,000仮払消費税0
未払消費税400
雑収入600

利益:10,000-6,000+600=4,600円

※消費税等は400円と同額。一方で、利益は、仕入高が従来支払っていた消費税等480円分下がるため利益が480円(=600円-120円)増加する。

まとめ

原則課税の場合には、利益は変わらず、実質的な消費税負担は変わりません。一方で、簡易課税の場合には消費税等が減り、利益は増加します。

飲食店においては、現行のままだと、敏感な消費者は客離れを起こしかねず、何らかの対策を考えるべき制度になりかねません。

もちろん実際に実施する際に変更がある可能性があるため、まだ「たられば」の話にはなりますが、現状の仕組みのまま施行されると簡易課税を選択し得る中小の飲食店では簡易課税が有利になる制度になっています。今まで本則課税の方が節税できるため選択していた飲食店でも、簡易課税制度を使用した方が節税出来るようになる可能性があります。

しかし、簡易課税制度は一度選択すると2年継続しなければならず、選択後に本則課税の方が得になるような大きな設備投資(例:店のリフォーム、レジや大型調理用器具の購入等)をした場合であっても、簡易課税制度から戻すことができないため、設備投資の予定のある場合は本則課税のままでいる、という選択も必要になります。

また、2年のみの0%特例措置に対応してテイクアウト業を新たに開始する場合、レジに10%税率ではない商品の設定、対応が必要になり、その設備投資に金銭がかかってしまい、結果的に簡易課税にした意味が薄れてしまった、設定が上手くいかずトラブルとなってしまったといった事態も発生するため、実際に特例措置の制度や期間が確定した際には自分のみで判断するのではなく、まず節税のためにどうすればよいのかという相談を顧問税理士に相談することをお勧めします。

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