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法人事業税(税率、損金算入の可否、計算方法、法人住民税との違い)

法人税・法人住民税・法人事業税はまとめて「法人税等」と呼ばれ法人が申告・納付しなければいけない税金です。法人税が国に納付する国税であるのに対して法人住民税・法人事業税は地方自治体に納付する地方税です。今回は地方税である法人事業税を中心に解説していき同じ地方税である法人住民税との相違点等についてもふれていきたいと思います。

法人事業税とは 

法人は道路や港、警察、消防、公共施設の運営などの様々な自治体の公共サービスを利用して事業を営みます。そのような公共サービスに対して自治体の経費の一部を負担する目的で課税されるのが法人事業税です。法人の所得に対して税金が課されます。したがって、赤字を計上した期には原則納税義務がなくなります。ただし、 資本金1億円超の法人は赤字を計上した期でも納税義務はあります。そして、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に事業所を設けて事業を行っている各都道府県に申告して納税します。

法人事業税の損金算入の可否

法人事業税の特徴は、「法人税等」のうち唯一損金に算入することが可能な税金であるという点です。ただし、未払計上した場合であっても、未払事業税として計上した期ではなく、実際に法人事業税を支払った期に損金に算入されます。こうしたことから、法人税申告書の別表四で加算・減算の調整が必要な場合があります。

法人事業税の計算方法

法人事業税の計算方法は資本金1億円以下の法人と資本金1億円超の法人とで2つに分かれます。

「資本金1億円以下の法人の場合」

「所得割額」が納税額となります。

「所得割額」の計算方法・・・所得×税率

「資本金1億円超の法人の場合」

「外形標準課税」が適用され「所得割額」「付加価値割額」「資本割額」の合計額が納税額となります。

「外形標準課税」の場合は付加価値額、資本金等といった所得以外の要素も計算に含まれますので赤字を計上した期でも納税義務が生じることになります。

「所得割額」の計算方法・・・所得×税率
「付加価値割額」の計算方法・・・付加価値額×税率

※付加価値額=(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)±単年度損益

「資本割額」の計算方法・・・資本金等×税率

法人事業税の税率は、法人の種類や所得金額、事業開始年度及び各都道府県によって異なります。例えば東京都の場合、東京都にのみ事業所があり、年所得額2,000万円、資本金1,000万円の普通法人の税率は次の通りです。

  • 所得金額400万円以下・・・3.5%
  • 所得金額400万円超800万円以下・・・5.3%
  • 所得金額800万円超・・・7%

※令和元年10月以降開始の事業年度

法人事業税における外形標準課税の留意事項

上記の通り、法人事業税において、資本金が1億円を超えるか超えないかで、外形標準課税の対象となるか否かが決まります。所得は赤字であるが、人件費や家賃などの経費が多い場合には、外形標準課税により、税金が発生することも多く見受けられます。

そこで、上場会社であっても、タックスメリットを享受するために、減資を行うことも多く見受けられます。

法人税法等において、資本金と資本剰余金を合算した資本金等を基準に判断にするのに対して、法人事業税は資本金のみを基準に判断することから、法の趣旨が異なることなどもあり、取扱いに平仄が合わないとも考えられます。

いずれにしても、企業側では、目的の合理性や経済合理性などを勘案して、検討することも一つかと思います。

法人事業税の計算例①

前提・・・東京都にのみ事業所があり、年間所得300万円、資本金1,000万円の普通法人

「所得割額」=3,000,000円×3.5%=105,000円
「法人事業税額」=105,000円

法人事業税の計算例②

前提・・・東京都にのみ事業所がある、年間所得3,000万円、資本金2億円、付加価値額1,000万円の普通法人

「所得割額」
 
4,000,000円×0.495%=19,800円・・・所得400万円以下の部分①
 
4,000,000円×0.835%=33,400円・・・所得400万円超800万円以下の部分②
 
22,000,000円×1.18%=259,600円・・・所得800万円超の部分③
 
「所得割額」=19,800円+33,400円+259,600円=312,800円
 
「付加価値割額」=10,000,000×1.26%=126,000円
 
「資本額割」=200,000,000×0.525%=1,050,000円
 
「法人事業税額」=312,800円+126,000円+1,050,000円=1,488,800円

※税率は東京都主税局
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/houjinji.html

法人住民税とは 

法人住民税は、事業所を設けて事業を行っている自治体から課税される地方税です。都道府県から課税される「法人都道府県民税」、市区町村から課税される「法人市町村民税」に分かれます。ただし、東京23区内の法人などは、「法人都民税」として一括で課税されます。法人住民税は「法人税割額」と「均等割額」の合計で税額が計算されます。

「法人税割額」は法人税額を基準に計算されます。
「法人税割額」の計算方法・・・法人税額×税率

法人事業税と同様に税率は各自治体によって異なりますが「標準税率」(目安となる税率)及び「制限税率」(設定可能な税率の上限)があらかじめ決まっています。

※税制改正により令和元年10月以降開始事業年度から税率が変更になっています。

※令和元年10月以降に開始する事業年度から地方法人税(国税・・・国が徴収して地方交付税として分配)の税率が5.9%引き上げられ法人住民税の税率が5.9%引き下げられました。しかし、トータルで納付する税額は変わりません。

「均等割額」は、従業者数や資本金等の額によって区分され自治体ごとに金額が異なります。

例えば、東京都の場合、東京23区にのみ事業所がある・従業者数50人以下・資本金1,000万円以下の普通法人の均等割額は7万円です。法人事業税との相違点としては赤字を計上した期でも「均等割額」の納税義務が生じること、損金算入することが認められていないこと等があげられます。

まとめ

今回は法人事業税を中心に解説させていただきました。赤字を計上した期における納税義務の有無、損金算入の可否などのポイントを押さえていただければと思います。法人事業税の税率は資本金や所得及び各都道府県によって異なります。事前にしっかり確認しておきましょう。もう少し詳しく知りたい方は、ぜひ当会計事務所へお問合わせください。

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